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清酒竹鶴 雄町純米 [日本酒]


 柔らかい水に個性的な香り。
 唯一無二の味。
 大阪で入手困難なのがちょっと残念。
 
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三浦しをん「星間商事株式会社社史編纂室」 [書評]


 オタク、冒険、恋愛とオヤジに、はては社内権力闘争のてんこ盛り。
 それで破綻なく、めっぽう面白いのだから、もはや神業。
 
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ドリアン助川「あん」 [書評]

 
 毎朝、りんごを剥いて食べる。
 今、目の前にあるこのりんごは、信州や青森の農家さんが心を込めて作ったものだ。
 普段はそんなことを気にせず食べるけれど、少し想像してみた。
 作る方は食べる方を想像しているに違いない。
 そんなふうに想像し合うことで世の中は成り立っているのかもしれない。
 
 そんなことを思わせてくれる一冊。
 
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串カツとお酒 凛(天満橋) [グルメ]


 高校時代、広島の片田舎でハンドボールをやっていた。そのときに思ったが、うまい人というのは振り返って見なくても自分の後ろで誰がどんな方向に走っているのか分かるものである。後ろに目がついているような、とはよく言うことだが、ハンドボールのようなスポーツをやっていると実感する。

 「串カツとお酒 凛」の大将も後ろに目がついている。いつの間にこちらを見ているのか、絶妙な種類の串が絶妙のタイミングで出てくる。だから注文はいつもおまかせにしている。

 聞けば、大将は広島の強豪、呉港高校ハンドボール部OBとのこと。納得である。

 そして今日も私は「凛」と書かれた暖簾をくぐり、怪しげな関西弁から、こちらももはや怪しくなってしまった広島弁に切り替えて串を喰らい、酒を飲むのだ。

「カタルーニャ厨房 カサマイヤ」 [グルメ]

電車の窓から見える線路沿いの桜並木に見とれていて玉川学園前で降りるのを忘れるところだった。
なだらかな坂の上から眺めるその街には春の夕暮れが迫ろうとしていた。
坂を下り、少し路地に入ったところにその店はある。
扉を開けると印象的なタイル貼りのカウンターと女性シェフの笑顔が出迎えてくれた。
シェフとは30年ぶりの再会だったが、力みのない立ち姿が素敵な女性になっていた。
出される料理はシンプルにみえて繊細。特に肉料理の塩加減は素晴らしい。
スペインのカタルーニャで修行したというシェフのスイーツは甘さを控えているが、それゆえにいくらでも食べられそうな逸品。
たのしく、おいしい時間をすごさせてもらった。
すっかり日が暮れてから店を出て、大通りとは反対側を見ると暗がりのなかに急坂とこんもりとした木々、大きな家の影が見えた。それはあたかも宮崎アニメに出てくる異界への入り口のようであり、店は大通りの明かりと坂の上の暗がりとのちょうど真ん中にあって世界と異界とを隔てる境界のようでもある。
その店の名は「カタルーニャ厨房 カサマイヤ」。
また、いずれ再訪したいと思う。

今里筋

仲良くしてもらっている不動産屋さんと忘年会。おいしいてっちりを食べてヒレ酒を飲んで、いい気分で店を出て、不動産屋さんの乗ったタクシーを見送った。冬空の下、今里筋で一人たたずんで信号待ちをしていると、向かいの昭和な長屋が目に入り、それでかどうかは分からないが何故だか甲斐バンドの「安奈」が口をついて出た。そのまま唄っているとどんどん声が大きくなり、通りかかる人が不審げに振り返るほど大きな声で歌っていたら、今度は涙がこぼれてきた。知らないうちにこんなところまで来しまった。そう思ったら、どんどん涙がこぼれてきたので、そのまま涙が乾くまでずんずん歩いた。

「喜嶋先生の静かな世界」森博嗣 [書評]

 テーマは大学で研究することの意味と師弟愛。(だと思う)
 
 主人公の結婚式で主人公の師がしたスピーチは師弟愛の結晶のようなものだ。(詳しく知りたい人は買って読んでね)

 他の人にはさっぱりわからないだろうけど、自分にだけは判る。自分にだけ届く言葉。それをもっと聞きたいと願う気持ち。

 教科書に書いてあることを分かりやすく説明してくれる先生は、いい先生だと思うけど、それだけでは師弟愛って生まれないんだろうな。

 今、大学生の人はもちろん、昔々に大学生だった人にもお勧め。恩師のことを思い出し、勉強したくなります。
 

 

「桐島、部活やめるってよ」浅井リョウ [書評]


 著者は早稲田大学の現役大学生。

 体育会系と文科系の間に確実に存在する断層とそれに対する屈折した思い。何ものにも打ち込めない鬱々とした毎日。好きな異性へのまなざし。

 ここに書かれていることは、いつの時代の高校生も抱えている普遍的な出来事であり、私のようなオジサンの心にもちゃんと届く小説になっています。

 もう少し余計な装飾を削った方がいいようにも思いますが、好みの問題かもしれません。
 
 いずれにしろ、買って損のない本です。
 高校時代を思い出したい人は是非。

津村泰水「ブラバン」 [書評]

 高校時代の3年間は、たったの3年間だけど、10年分生きていた気がする。その時に起きた出来事は一生忘れられない。そのとき会った友人は今もずっと友人できっと死ぬまで友人だろう。
 でも、僕らはみんな高校卒業から既に20年以上の人生を生きてきた。明日をも知れぬ世界で苦難と悔悟にまみれ、なんとか生き抜いてきた。もうみんなあのときの自分じゃないかもしれない。それでも、ときどきは高校時代の気持ちを思い出し、自分を奮い立たせる。

 津村泰水「ブラバン」 高校のブラスバンド部を舞台にした青春とその20数年後の物語。
 
 あのときの気持ちを忘れちゃいけない。

吉田修一「横道世之介」 [書評]


 田舎から大阪に出てきたとき、街は肩パッドと金ボタンとスカーフ、ダブルのスーツが大量に溢れていた。
 僕は正直、どうしていいか分からなかった。友人が頼んだから自分も頼んでみたフォアローゼスをバーの片隅で舐めながら、喧噪を楽しむ人々と自分の間に深い川が流れていることを自覚していた。「何か違う。」

 そんな頃、田舎から東京に出てきた大学生、横道世之介の物語。
 バブルまっただ中の東京でまがりなりにも成長していく様子は、当時の等身大の学生を描いて楽しく、ときに深く考えさせられる。
 一気に読める快作。
 
 
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